■ 建設汚泥とリサイクル
■ 人類は進化によって2足歩行により自由に使える手を持つことができるばかりか優れた頭脳で物事を考える事ができるため、厳しい自然条件に適応できない身体的欠点をカバーして進化しました。 ■ 反面欲望も他の動物に比べ多く、自然に逆らってでも不自然な環境を作り出すと言う行為を行っています。自然の方も、むき出しの土の上に草や木が生えるように自然環境の回復力や生態系は元に戻ろうと働くのですが、それに抵抗するのも人類が唯一の動物です。 ■ 自然の回復力は何十年も必要とするため科学技術を手にした人類には歯が立たず、地形が変わり、生態系が影響を受け、災害(人災)が発生し、地球規模の異常気象を引き起こし結果的にはそれらの影響がわれわれ人類を含め生態系に大きな影響を及ぼしています。
■ 土木建設工事に必要なコンクリート用骨材は川砂などを河川敷から採取してきましたが、近年では採石場と言う許可を受けた里山を崩し、採石した石を砕いて作っています。 ■ 骨材の原料になる採石を砕石する際、水洗処理するので洗石廃泥が排出されます。海砂は塩分を含んでいるため洗浄してもコンクリートと化学反応をおこして成分が変化してしまうためコンクリート用骨材には向きません。また、洗浄のコストが高くついてしまうと言うデメリットもあります。 ■ 洗浄後の廃棄物や伐採した森林の材木は当然自然破壊で得られた残物で、それら年間10億トン以上の建設資材が建築や土木構造物になり、やがて解体され不用物になると生活空間に溢れ出します。 ■ 山を切り崩して自然破壊するのは地図上から消えてしまうばかりではなく、そこに住む動植物をも消滅させる事になります。生態系のしくみを一握りの人間の欲求で破壊できる権利は人類は持っているのでしょうか?
■ シールド工法もしくは開削工法を用いた掘削工事、杭基礎工法、ケーソン基礎工法もしくは連続地中壁工法に伴う掘削工事または地盤改良工法を用いた工事に伴って生じた無機性の汚泥で産業廃棄物です。(平成9年12月26日官報より) ■ また、建設産業廃棄物処理指針では、含水率が高く、微細な泥状の掘削物を指す。 掘削物とは標準ダンプトラックに山積できず、またその上を人が歩けない状態(コーン指数がおおむね200kN/m2以下または一軸圧縮強度がおおむね50kN/m2以下)で具体的には場所打杭工法、泥水シールド工法等で生じる廃泥水を言う。(平成13年6月環境省廃棄物・リサイクル対策部産廃課)
■ 建設系廃棄物は、年間4億トン排出されていると言う産業廃棄物の中の約45%占めていると言われています。 建設副産物も減量化や再利用が進んできてはいますが、製造業の廃棄物に比べてそれらの比率が低く、残念ながらいまだに多量の埋立処分や不法投棄が行われています。不法投棄を行う業者はいまだに後を絶たず大きな社会問題になっており誠に残念です。 ■ 現有の管理型埋立処分場の受け入れ可能容量も底をついてきています。 厚生省(当時)の発表では2008年には管理型最終処分場(埋め立て地)が飽和状態になるばかりか、環境を考慮して今後新たな処分場建設の計画は無いと発表しました。したがって、今から経済性と両立できる減量化やリサイクルで乗り切る体質に改善しなければ、将来の発展は望めません。
■ 人類が地球上で生活するためには、自然に多少の改変を求める事はやむを得ませんが、一方では人類と自然との共存する思想もあり、先進諸国では過去の自然破壊による影響の反省からもはや法律で制定されているなど世界的にこの風潮が高まってくるでしょう。 ■ 土木建設事業は本来、自然を十分研究して災害を未然に防いだりその猛威を和らげて共存するものであったはずですが、最近は自然を人為的に変えるお金儲けの事業になっています。日本では、毎年年度末になるとあちこちで年間予算の消化土木工事が始まるのは誰にも目に余る光景でしょう。結果、不必要な工事や無理な設計、工事期間のカット、コストを省いた手抜き工事により人災と呼べる災害の発生原因になるばかりではなく、地球規模の気象変化までも引き起こす結果となりました。これらの改善には法律の整備などで対応するほかありませんが、工事のやり方や内容に付いてはこれまでほとんど放任状態であった事を反省し、自然に手を加える範囲、ルールを一刻も早く確立する事が望まれます。 ■ 今後新たな事業に関するこれらの規制適用だけではなく、過去の事業に対する自然回復修復事業も行っていかなければなりません。建設事業によって排出される膨大な残土や建設汚泥をリサイクルするための技術開発や確立された技術の活用とリサイクル推進が望まれます。
■ 建設残土・汚泥を改質するための最も簡単な方法は、それにセメントを添加して混合するもので、セメント中のアルカリ性と、土の成分のケイ酸とアルミ成分が反応して、エトリンガイトという水硬性の結晶になり、強度が高まるという方法です。 ■ この他に、セメントより経済的に改質できる消石灰、生石灰(これらは有価物である)や、石灰アルカリ性の廃棄物として、電気炉工業の還元滓、ごみ焼却灰、石炭燃焼灰、コンクリートの骨材回収で分離される粉末などが使えます。消石灰、生石灰、還元滓などは、土に対して1〜2%の添加で十分な改質効果を発揮します。
■ オデッサ・テクノス株式会社が開発した「オデッサシステム」は移動式で現場に直接プラントを持ち込み汚泥の再生処理が可能な画期的なシステムです。 ■ 従来の工法では、ストックヤードに直接上記のような凝固材を投入しバックホーで攪拌して凝固するのを待っていましたが、この工法だとストックヤードを何個も作りローテーションするかその間工事を中断させなければなりませんでした。また、雨や雪などの天候により工期が左右されていましたが、オデッサシステムはプラントに直接汚泥を投入し高分子固化材により1バッチあたり5分程度でダンプカーにベルトコンベアで登載できるまでに汚泥を凝固する事が可能で、天候に左右されることはまったくありません。しかも、汚泥処理の間の本工事は中断の必要はありません。 ■ 以上の観点からオデッサシステム工法協会と加盟企業では建設汚泥の健全で適切なリサイクルを推進し環境保全に貢献する事に努力を惜しみません。建設汚泥による地球環境汚染ゼロを目指します。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||